[ノースカロライナ州ローリー– 2020年7月2日(現地時間)発表] アメリカ報道発表資料抄訳
Red Hat Enterprise Linuxは主要なスーパーコンピュータの基盤となる様々なアーキテクチャ上でシームレスに動作するように設計されており、AI、エンタープライズ・コンピューティング、量子コンピューティング、クラウド・コンピューティング等を含む新しい市場および使用法へとHPCを推進する上で重要な役割を果たしています。
オープンソース・ソリューションのプロバイダーとして世界をリードするRed Hat, Inc.(以下Red Hat)は本日、最新の世界のスーパーコンピュータTOP500ランキングによると上位3機種、および上位10機種のうち4機種でRed Hat Enterprise Linuxがオペレーティング・システムの基幹を提供していると発表しました。世界をリードするこのエンタープライズLinuxプラットフォームは、すでにハイブリッドクラウド全体にわたるエンタープライズイノベーションのカタリスト(触媒)としての役割を果たしていますが、最も要求の厳しいコンピューティング環境にも適合する基盤を提供できることがこれらのランキングによって示されました。
現在のTOP500リストの上位10機種の中で、Red Hat Enterprise Linuxは以下のオペレーティングシステムとして使用されています。
- 富岳:世界第1位のスーパーコンピュータ。理化学研究所・計算科学研究センター(神戸)保有
- Summit:第2位のスーパーコンピュータ。オークリッジ国立研究所(テネシー州オークリッジ)保有
- Sierra:世界第3位のスーパーコンピュータ。ローレンスリバモア国立研究所(カリフォルニア州リバモア)保有
- Marconi-100:第9位のスーパーコンピュータ。CINECA研究センター(イタリア)保有
複数のアーキテクチャにわたるハイパフォーマンス・コンピューティング
Red Hat Enterprise Linuxは、ほぼすべての認定アーキテクチャおよびハードウェア構成にわたって、一貫性のある、標準化されたハイパフォーマンス体験を提供するように作られています。これらと同じ厳格な標準規格と一貫性がスーパーコンピューティング環境でも実現され、基盤となるハードウェアに関わらず予測可能で信頼できるインタフェースを提供します。
富岳は、TOP500リストで首位を獲得した初のArmベースシステムで、データセンターからハイパフォーマンス・コンピューティング研究所まで、Armエコシステムに対するRed Hatの取り組みを明確に示しています。Summit、Sierra、およびMarconi-100は、すべてIBM POWER9ベースのインフラストラクチャとNVIDIAのGPUを採用しており、これら4つのシステムを組み合わせると680ペタフロップス以上の処理パワーが生み出され、幅広い科学研究アプリケーションを促進することになります。
この莫大な計算能力の実現に加えて、Green500リストによると、Red Hat Enterprise Linuxは地球上で最も電力効率に優れたスーパーコンピュータ上位10機種中6機種にも採用されています。リストに記載された各システムは、性能結果とそれを実現するために消費された電力の両面で測定されています。持続可能なスーパーコンピューティングという点で、最もエネルギー効率の良い性能を実現するバランスの取れたアプローチを見つけることが奨励されています。
Green500リストの上位10機種の中、Red Hat Enterprise Linuxはオペレーティングシステムとして以下で使用されています。
- A64FXプロトタイプ:第4位。富岳スーパーコンピュータのテストおよび開発のためのプロトタイプシステムとして作成。富士通沼津工場保有
- AIMOS:Green500リスト第5位のスーパーコンピュータ。レンセラー工科大学(ニューヨーク州トロイ)保有
- Satori:世界で最も電力効率に優れたシステム第7位。MITのマサチューセッツ・グリーン・ハイパフォーマンス・コンピューティングセンター(MGHPCC、マサチューセッツ州ホールヨーク)保有。Red Hatが多数の活動を支援しているマサチューセッツ・オープン・クラウド(MOC)プロジェクトの基盤
- Summit:第8位
- Fugaku:第9位
- Marconi-100:第10位
研究所からデータセンターまで、さらにその先へ
現代のスーパーコンピュータは、もう高価な特注部品で構成された専門用途のモノリスではありません。Red Hat Enterprise Linuxを採用したスーパーコンピュータの各デプロイメントは、購入可能で任意のデータセンターに統合することができるハードウェアを使用しているので、科学の壁を打ち破っているものと同等のエンタープライズシステムを使うことが実現可能です。基盤となるハードウェアが何であろうと、Red Hat Enterprise Linuxは共通の制御プレーンを提供し、従来のITシステムと同じ方法でスーパーコンピュータを実行、管理、保守できるようにします。
また、Red Hat Enterprise LinuxはLinuxコンテナを含むエンタープライズITの進歩をスーパーコンピューティング・アプリケーションでも利用できるようにします。Red HatはオープンソースコミュニティでSupercomputing Containersプロジェクトなどの組織と緊密な共同作業を行い、Red Hatの分散コンテナツールキットの構成要素であるPodman、Skopeo、Buildahの進化を促進して、コンテナ化されたスーパーコンピューティング・アプリケーションの構築とデプロイへの利用をより容易にするために貢献しています。
サポートコメント
Red Hat Red Hat Enterprise Linux事業部門バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー ステファニーチラス
「スーパーコンピューティングは、もはやカスタムビルドのハードウェアとソフトウェアの世界ではありません。複数のアーキテクチャにわたるLinuxの普及によって、ハイパフォーマンス・コンピューティングはスケーラブルな計算パワーの提供により科学のブレークスルーを促進するという状況になっています。Red Hat Enterprise Linuxはすでに世界中の企業にイノベーションの基盤を提供していますが、最近のTOP500リストの結果で、世界最高速のコンピュータ、および最も電力効率に優れたコンピュータの一部に、それと同じ、利用しやすく、柔軟性の高い、オープンなプラットフォームを提供しているのが示されたことを嬉しく思います。」
Hyperion Research HPC市場ダイナミクス担当シニアアドバイザー Steve Conway氏
「世界で最も強力なスーパーコンピュータの上位500機種はいずれもLinuxで動作しており、最近の当社の調査で、全世界のハイパフォーマンス・コンピューティング市場においてRed Hatが最も人気の高いベンダーサポート付きLinuxソリューションであることが確認されました。Red Hat Enterprise Linuxは主要なスーパーコンピュータの基盤となる様々なアーキテクチャ上でシームレスに動作するように設計されており、AI、エンタープライズ・コンピューティング、量子コンピューティング、クラウド・コンピューティング等を含む新しい市場および使用法へとHPCを推進する上で重要な役割を果たしています。」
理化学研究所 計算科学研究センター・センター長 東京工業大学 数理・計算科学系・特任教授 松岡聡氏
「富岳はスーパーコンピューティングの新しい波を表しており、科学の新たなブレークスルーを生み出し、研究のイノベーションをさらに促進するために役立つ性能、規模、および効率を提供します。このプロジェクトの重要な目標のひとつが、Red Hat Enterprise Linuxの追加を始めとする、オープンソースソフトウェアスタックの実現でした。Red Hat Enterprise LinuxがArmベースのプロセッサー上で動作することで、分散したコミュニティや科学者によるスーパーコンピューティングリソースの利用と管理が容易になり、より広範なワークロードとアプリケーションの開発とデプロイメントが単純化されます。」
テネシー大学 オークリッジ国立研究所、およびマンチェスター大学 Jack Dongarra教授
「コンピューティングのイノベーションと科学の進歩は、孤立した環境で行われるわけではありません。研究所からベンダーのエコシステムまで、スーパーコンピューティングコミュニティが協力して、アーキテクチャと研究レベルの両面でブレークスルーを促進しています。Red Hatはグローバルコミュニティの重要なメンバーで、この処理パワーのすべてを様々な分野の幅広い科学者が容易に利用できるようにするための、標準規格ベースの、オープンな制御パネルの実現に貢献しています。」
関連リンク
- Red HatがどのようにITイノベーションをハイパフォーマンスコンピューティングにもたらしたかについての学ぶ
- Red Hatがどのようにしてアメリカで最速のスーパーコンピューターSummitとSierraを構築したかについて学ぶ
- Red Hat Enterprise Linuxについて
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