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Red Hat は毎年、情報技術 (IT) のリーダーおよび意思決定者に対してアンケートを行い、組織のデジタル・トランスフォーメーションの状況、そして翌年のテクノロジーに関する目標と優先事項について調査しています。これは、Red Hat がより適切な支援を提供できるよう、お客様の現在の状況を明確に理解することを目的としています。

今年の 2022 年版世界のテクノロジー展望:Red Hat レポートでは、AI/ML、エッジ、サーバーレス・コンピューティングが今後 1 年間の 最優先の新興技術 であることや、スキルギャップが デジタル・トランスフォーメーションの取り組みに対する最大の障壁 とされていることなど、興味深い洞察が得られました。

もう 1 つの重要な調査結果として、プライベートクラウドとパブリッククラウドのどちらかだけに依存したままでいるのではなく、ハイブリッドクラウド 戦略を計画するデジタル・トランスフォーメーション・リーダーが増えてきている点が挙げられます。

2022 年版世界のテクノロジー展望:Red Hat レポートの調査結果

ここでは、今年の調査結果を詳しく見ていきます。具体的には、デジタル・トランスフォーメーションの段階、Red Hat のお客様と Red Hat 以外のお客様との比較、全体的なクラウド戦略、およびこれらすべてがどのように組み合わされているかという点を見ていきます。

デジタル・トランスフォーメーションの段階

IT リーダーに対して、デジタル・トランスフォーメーションの進捗状況を尋ねたところ、大半の企業が、変革途上、取り組みを加速中、またはリーダー的存在のいずれかのプロセスを順調に進めていることが判明しました。「加速中」および「変革途上」の段階にある企業数は昨年より増加しており、回答者は加速の理由として、グローバルパンデミック (52%)、収益の増加 (50%) を挙げています。 また、興味深い点として、昨年と比較して、デジタル・トランスフォーメーションに「行き詰まっている」または「計画していない」という企業が減っていることも挙げられます。これは、より多くの企業が前進している、あるいは少なくとも計画を立てていることを意味しています。

Red Hat のお客様と Red Hat 以外のお客様との比較

また、この質問に対する回答を、Red Hat のお客様と Red Hat 以外のお客様に分けて比較してみました。ここで最も印象的だったのは、デジタル・トランスフォーメーションのプロセスにおいて自分たちを「リーダー的存在」と考えている Red Hat のお客様の割合が、Red Hat 以外のお客様の約 2 倍であったことです。

Red Hat のお客様は、なぜ自分たちを「リーダー的存在」と考えているのでしょうか?その主な理由として、Red Hat のお客様は、スキルギャップが少ないことを挙げています (53%)。また、Red Hat 以外のお客様とは異なる障壁 (技術的負債など) や成功指標 (IT サービスの迅速な提供など) を持っていることも、その理由の 1 つとして挙げています。

Red Hat は昨年、労働者災害補償保険会社の Employers の事例 ( 「保険会社が新しいテクノロジーで見積もりの所要時間を 20 分から 2 分に短縮」) を公開しました。同社の事例はこの調査結果を反映しています。

デジタル化が進む市場で競争力を磨くため、Employers は、運用プロセスの最適化を求めていました。同社は、AWS 上で実行される Red Hat OpenShift で一元的なアプリケーション環境を構築し、Red Hat の管理ソリューションとミドルウェア・ソリューションを使用して保険契約の関連プロセスを自動化することを決定しました。

新しいクラウドと Kubernetes 環境により、Employers は IT インフラストラクチャに真のハイブリッド型アプローチを導入しました。このアプローチでは、ワークロードをさまざまな環境でホストし、パフォーマンスを最適化できます。現在、Employers ではアジャイルで応答性に優れたワークフローの基盤が確立し、その結果 3 年間の売上が 40% 増加したほか、より効率的なサービス体験をお客様に提供できるようになりました。

また、保険の見積もりをより迅速に提供できるようにもなりました。「見積もり 1 件あたりの所要時間が 20 分弱から 2 分へ短縮されたことは、当社だけでなく業界全体にとって大きな進歩です。Red Hat からの豊富なサポートは、市場が求めるスピードで迅速に行動し、価値提供を実現するための鍵となっています。」と、Employers のエグゼクティブバイスプレジデント兼 CIO であるジェフ・ショー氏は述べています。

ハイブリッドクラウド戦略とプライベートクラウド戦略の比較

クラウド戦略に関しては、調査対象の企業のうち、クラウド戦略の計画がない企業はわずか 5% と極めて少ない数字となっています。まだ戦略策定中の企業が大きな割合 (18%) を占める一方で、大多数の企業は計画を実際に策定しており、このうち 30% がハイブリッドクラウド戦略を決定しています。

マルチクラウド (多くの企業がハイブリッドクラウドと同じ意味で使用している用語) を選択した企業を加えると、複数のクラウドに依存するクラウド戦略を選択している企業の合計は、昨年から 5 ポイント増加して 43% に上ります。

デジタル・トランスフォーメーション・リーダーとクラウド戦略

また、クラウド戦略に関しても、自らをデジタル・トランスフォーメーションの「リーダー的存在」または「加速中」の段階にあると考える組織は、ハイブリッドクラウドに強い関心を抱いていることがわかります。

これは、デジタル・トランスフォーメーションの初期段階にあり、プライベートクラウド・ファーストのアプローチをとる傾向がある組織とは対照的です。このことは、デジタル・トランスフォーメーションのリーダーが、オープンなハイブリッドクラウド・プラットフォームの柔軟性と一貫したエクスペリエンスを理解し、それを活用できていることを示唆しています。

優先事項:「イノベーション」「単純化」「コスト」

最後に、デジタル・トランスフォーメーション・イニシアチブの異なる段階において、組織の優先順位がどのように変化しているのかを見てみました。

自分たちを「リーダー的存在」と考えている組織の場合、絶対的な最優先事項として 33% が「イノベーション」を挙げ、6% が「単純化」、そしてわずか 2% が「コスト」を挙げています。

「行き詰まっている」段階にある組織の場合、絶対的な最優先事項として、13% が「イノベーション」、11% が「単純化」、そして 13% が「コスト」を挙げており、非常に対照的な結果となっています。

このことは、多くのデジタル・トランスフォーメーション・プロジェクトが効率化の取り組みとして始まり、後に競争力、売上、カスタマーエクスペリエンスを向上させるための重要な要素であると認識するようになっていることを示唆しています。

オープン・ハイブリッドクラウド戦略を選ぶ理由

ハイブリッドクラウド戦略の最大の利点は、タスクやワークロードごとに最適なソリューションを選択できることです。たとえば、機密データの保管にはオンプレミスのインフラストラクチャを使用し、アプリケーションの開発やホスティングにはパブリッククラウド・サービスを使用するといった具合です。

また、地域によって異なる規制に対応するために複数のパブリッククラウド・ベンダーを利用したり、価格や需要の最適化のためにワークロードを別のベンダーに移行したりすることも可能です。あるいは、エッジコンピューティングに関心があり、データソースとユーザーの生活圏に近い場所にコンピューティング能力とストレージ能力を分散させ、より良いカスタマーエクスペリエンスとリアルタイムの意思決定を提供したいと考えるかもしれません。

オープン・ハイブリッドクラウド 戦略では、移植可能なワークロードを実行する一貫したプラットフォームでこれらのすべてを行うことができ、要件の成長と変化に応じてより高い柔軟性、拡張性、および効率性を実現することができます。

さらに、1 つのクラウドプロバイダーやオンプレミス環境に、必要なものがすべてそろっているわけではありませんし、独自のソリューションでは、将来的に選択肢や適応性が制限される可能性もあります。再構築に多額のコストをかけることなく変化に対応するために、ハイブリッドクラウドはオープンソースコードの一貫した基盤の上に構築する必要があります。運用、開発、セキュリティの各チームは、ベアメタル、仮想マシン、プライベートクラウド、パブリッククラウド、そしてエッジで動作する標準的な統合プラットフォームで、IT スタック全体を構築、管理することができます。

Red Hat によるサポート

Red Hat は 30 年近い歳月をかけ、お客様の IT スタック全体を対象とした中立的で相互運用可能なソリューションを開発し、お客様の デジタル・トランスフォーメーションへの取り組み をサポートしています。私たちは、Linux、Kubernetes、その他のオープンソース・コミュニティにおいて、コードの提供、プロジェクトの管理、イベントのスポンサーなどを直接行い、エンタープライズ・デプロイメントのために構築されたオープンソース・ソフトウェアの開発に取り組んでいます。

開始するには

Red Hat は、ハイブリッドクラウド の目標達成を支援する次の 3 つのコア製品を提供するほか、トレーニングや認定オプションを提供し、お客様のチームが迅速に対応できるようにしています。

Red Hat Enterprise Linux

Red Hat Enterprise Linux (RHEL) は、数百のクラウドと数千のベンダーで認定されているエンタープライズ Linux オペレーティングシステムで、あらゆるアプリケーションのサービスとワークロードをより速く提供するために必要な一貫した基盤とツールを提供します。つまり、ハイブリッドクラウド・インフラストラクチャをコアからエッジまで拡張しながら、デプロイメント時のフリクションやコストを削減し、各チームがあらゆる環境でより迅速にイノベーションを起こせることを意味します。

Red Hat Enterprise Linux の詳細 および利用可能な RHEL トレーニングと認定に関するオプションについて確認してください。

Red Hat OpenShift

Red Hat OpenShift は、どこにデプロイしても、クラウドのようなエクスペリエンスを可能にするエンタープライズ Kubernetes プラットフォームです。Red Hat OpenShift を使用すると、クラウド、オンプレミス、エッジのいずれにおいても、一貫したエクスペリエンスを通じて、アプリケーションを構築、デプロイ、実行する場所を選択することができます。フルスタックの自動化された操作とセルフサービス・プロビジョニングにより、各チームはより効率的に連携し、開発から生産までより迅速にアイデアを移行することができます。

Red Hat OpenShift の詳細 および OpenShift トレーニングと認定に関するオプションについて確認してください。

Red Hat Ansible Automation Platform

Red Hat Ansible Automation Platform は、IT 自動化を大規模に構築、運用するためのエンタープライズ・フレームワークを提供します。Ansible Automation Platform を使用すると、組織全体のユーザー (開発および運用から、セキュリティおよびネットワークにいたるまでの各チーム) が、自動化を作成、共有、管理することができます。

IT 管理者は、自動化の適用方法に関するガイドラインを個々のチームに提供でき、自動化の作成者は、既存の知識を使用するタスクを作成することができます。Ansible Automation Platform は、エンドツーエンドの自動化をデプロイするための、より安全で安定した基盤を提供します。

Red Hat Ansible Automation Platform の詳細および Ansible Automation Platform トレーニングと認定に関するオプションについて確認してください。

まとめ

2022 年版世界のテクノロジー展望:Red Hat レポート には、段階、計画、障壁、戦略など、組織のデジタル・トランスフォーメーションの取り組みに関する数多くの洞察が含まれています。例年の調査と同様に、デジタル・トランスフォーメーションのリーダー的存在を自認する企業は、ハイブリッドクラウド戦略をとる傾向が強く、簡素化やコスト削減よりもイノベーションを重視する傾向が著しく強いことがわかりました。

このことは、テクノロジーリーダーがハイブリッドクラウド・インフラストラクチャの柔軟性と効率性だけを求めているのではなく、先進的なデジタル・トランスフォーメーション・プロジェクトがもたらす競争上の優位性を認識していることを示唆しています。

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執筆者紹介

Deb Richardson joined Red Hat in 2021 and is a Senior Content Strategist, primarily working on the Red Hat Blog.

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