デジタル通信およびテクノロジー・サービスプロバイダーである Turkcell は、通信に対する人工知能 (AI) の重要性の高まりに、AI サービス・プラットフォームを構築することで適応する方法を模索していました。Red Hat OpenShift と NVIDIA GPU を使用してこのインフラストラクチャを構築することで、Turkcell は応答性とコスト効率の高い基盤を確立し、AI を活用した革新的なサービスの開発および提供を迅速化しました。この結果、同社は業界パイオニアとしての地位を維持し、新しい収益の機会を活用できるようになりました。
メリット
- 革新的な AI アプリケーションをより迅速に提供する応答性の高いインフラストラクチャを構築
数カ月かかっていたプロビジョニング時間を数秒に短縮 - AI の開発コストと運用コストを 70% 削減
- 包括的なデータサイエンス・プラットフォームを構築
AI ワークロードの開発とデプロイを単純化
Turkcell は 1994 年に設立され、トルコに本社を置くデジタル通信事業者です。同社は豊富なデジタルサービスに加えて、音声、メッセージ、データおよび IPTV サービスを、モバイルおよび光インターネットを含む固定ネットワーク上で提供しています。同社初の GSM モバイルネットワークの導入以来、Turkcell は革新的な新しい音声およびデータサービスを継続的に開発し、親会社および世界中の子会社ブランドを通じて顧客に提供しています。また、LTE-Advanced および 3GPP キャリアアグリゲーション・テクノロジーを最初期に導入して帯域幅とサービス速度を強化したグローバル通信事業者の 1 社でもあります。Turkcell は同地域において 5G で TV 放送のライブ配信を行った最初の事業者で、商用端末を使用して初めて最高レベルの 5G 接続速度を達成しました。
2018 年、Turkcell はデータサイエンス、IoT (モノのインターネット)、ブロックチェーン、人工知能 (AI) を取り入れる戦略的な取り組みを開始しました。「AI が多数のデジタルアプリケーションにとって不可欠となってきたため、AI を活用したサービスを作成して製品を強化し、新しい市場機会を活用することに軸足を移すことにしました」と、Turkcell 人工知能産業ソリューションマネージャー Osman Kiraz 氏は語ります。
この取り組みをより迅速で効率的な開発およびデプロイプロセスでサポートするため、Turkcell は同社のモノリシック IT アーキテクチャをマイクロサービスおよびコンテナをベースとする環境に置き換えることにしました。
堅牢でスケーラブルなコンテナ・プラットフォームの導入
Turkcell は、同社における他の複数のプロジェクトに対する エンタープライズ向け Kubernetesオーケストレーションに、AI を活用したアプリケーション・ワークロードの基盤として、Red Hat OpenShift をデプロイすることにしました。このプラットフォームは、NVIDIA A100 Tensor Core GPU 上のプライベートクラウド環境で実行されます。これらの GPU は、AI データ分析、モデリング、推論タスクの高速化を支援します。Red Hat OpenShift NVIDIA GPU Operator は、これらの高速化されたワークロードのスケジューリングを行います。
「私たちは約 4 年前からコンテナを取り入れています。Kubernetes プラットフォームの包括的なメリットであるアジリティ、レジリエンシー (回復力)、一貫性、可搬性と、大勢のユーザーがコードをレビューして改善していることによるオープンソースのイノベーションとセキュリティを求めていました」と Turkcell シニアクラウドエキスパート Ozan Orcunus 氏は言います。「Kubernetes コンテナエコシステムに投資した最初の企業に数えられる Red Hat は、当社の AI ワークロードのコンテナでの開発、デプロイ、実行を支援する最適なベンダーでした」
Turkcell のチームはおよそ 8 カ月にわたって Red Hat コンサルティングおよび NVIDIA と密接に連携し、新しいアーキテクチャを計画、設計、実装しました。
使い慣れたプロセスとリソースで構築して AI イノベーションの提供を高速化
特殊な AI ワークロードの市場投入時間を短縮
Red Hat OpenShift により、Turkcell の開発者は Java™ アプリケーションに使用されるものと同じ継続的インテグレーション/継続的デリバリー (CI/CD) プロセスを使用して、新しい AI アプリケーションを開発できます。開発者とデータサイエンティストは、必要に応じてセルフサービス機能を利用して新しい環境を作成します。この環境では、アプリケーションを GPU プロセッサーに接続するドライバーなど、あらゆる特殊なインフラストラクチャをコンテナ・プラットフォームによってプロビジョニングし、管理します。このプラットフォームは抽象化レイヤーによって分離されているので、Turkcell のチームはイノベーションに集中できます。
「Red Hat OpenShift により、開発、テスト、プロダクション向けに同一の環境を容易にデプロイできます」と、Turkcell 人工知能ポートフォリオ主任アーキテクト Erkan Haspulat 氏は言います。
Turkcell では、次のような AI サービスを市場に投入する時間を短縮できるようになりました。
- トルコ語対応の高度な音声認識チャットボット
- 自閉症の子どもの意思疎通を支援する音声認識翻訳サービス
- 雑誌を音読する画像音声合成サービス
- ソーシャルメディア向けの画像を提案する Life Box 画像処理サービス
- 自撮り写真を分析して、検出された雰囲気に応じて音楽を提案する Fizy アプリケーション
主要プロジェクトの 1 つである Spread the Smile キャンペーンでは、顔認識テクノロジーを使用して Turkcell の Digital Operator アプリケーションの自撮り写真を分析し、それに応じた金額を Yedikule 動物シェルターに餌代として寄付します。このように AI を社会的利益のために使用した創造的で革新的な業績が評価され、Turkcell は 2021 Shorty Awards for Artificial Intelligence の Creative Use of Technology の最終選考に残りました。
プロビジョニングおよびスケーリングの時間を数時間から数秒に短縮
自動化されたコンテナベースのインフラストラクチャ・アプローチを採用し、Turkcell はリソースと環境のプロビジョニング時間をこれまでよりも大幅に短縮できるようになりました。この結果、新しいサービスを迅速に提供すると同時に、需要に自動的に適応してスケーリングできるようになりました。
「Kubernetes コンテナによるマイクロサービス・アプローチは、モノリシックなアーキテクチャから生じている課題の解決に役立ちます。インフラストラクチャを使用可能なリソースに分割して、筆賞に応じて新しいプロジェクトをサポートできます」と Orcunus 氏は語ります。「また、スケーリングはプラットフォームによって処理されるので、手作業はまったく必要ありません」