OpenJDK と Oracle JDK

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2024 年版 世界のテクノロジートレンド

テクノロジーの世界ではデジタル・トランスフォーメーションが急速に進み、企業の重要なビジネス領域の優先順位に変化が生じています。業界に関する知見を共有して 10 年目を迎える 2024 年版 世界のテクノロジートレンドレポートでは、IT と IT 以外における予算配分の 6 つの優先項目と、進歩を妨げる 3 つの障壁を明らかにします。

 

Java はあらゆる場所で使用されています。当初は Sun Microsystems からリリースされ、その後 Oracle に買収された Java は、どこででも実行されるように作成された、プログラミング言語かつコンピューティング・プラットフォームです。 

Java Platform, Standard Edition Development Kit (JDK) は、Java プログラミング言語を使用するアプリケーションを構築するための開発環境で、Java プログラミング言語で作成されたプログラムの開発およびテスト、Java プラットフォーム上での実行に有益なツールが含まれています。

Red Hat® の OpenJDK ビルドは、無償で利用できる、Java Platform, Standard Edition (Java SE) のオープンソース実装で、2006 年、Sun Microsystems が Java 実装を OpenJDK プロジェクトでオープンソース化した取り組みの成果です。これは Oracle JDK に代わる選択肢であり、組織は移行作業にほとんど、あるいはまったく労力を割くことなく、従来のライセンスに煩わされずに、Java 環境を長期的に安定化および標準化できるようになります。 

Oracle JDK と OpenJDK はそれぞれ、Java 開発キットと呼ばれるソフトウェアおよび仕様のセットです。Java 11 以降、Oracle JDK と OpenJDK は Flight Recorder および Mission Control などの機能を含むという点で同じビルドです。基本的に、Oracle JDK と OpenJDK にはコードの変更はほとんどない、またはまったくないので、機能面では非常によく似ています。 

OpenJDK と Oracle JDK の最大の違いは、OpenJDK は Oracle、Red Hat、コミュニティが維持するオープンソース・プロジェクトであるのに対して、Oracle JDK はクローズドソースで、有料ライセンスが必要で、Oracle が維持しているという点です。この違いがあるため、クローズドソースであるかライセンスで制限されていることから、OpenJDK では利用できない機能が少しあります。

OpenJDK はオープンソースの開発キットであるため、Oracle JDK とはサポートやコストの面で違いが生じます。OpenJDK は以下の理由で、Oracle JDK の代わりに使用できるオープンソースの選択肢です。

  • コスト:エンタープライズ向けサポートが必要なユーザーに対して: Red Hat の OpenJDK ビルドは Red Hat Enterprise Linux® (RHEL)Red Hat OpenShift®Red Hat Application Services のサブスクリプションに無償で付属しています。
  • 統合:OpenJDK で標準化すると、クラウド向け Java サポートを統合できます (アプリケーションサーバーまたはランタイム、JDK、Kubernetes)。

クラウドネイティブのモダナイゼーション・プロセスの一環として、OpenJDK は継続的な開発、パフォーマンスの向上、セキュリティのアップデート、デプロイメントの柔軟性を提供し、アプリケーションサーバーをコンテナKubernetes で実行するために最適です。

OpenJDK と Oracle JDK では、Java SE 仕様に準拠したコードをどのように実行するかという点では、両方の JDK に違いはありません。機能の違いがほとんどないことから、どちらのほうがメリットが多く、移行を進めるべきかの判断は、ユーザーに委ねられます。

コストから Java サポートの必要性まで、どちらの JDK を選ぶべきかの判断材料は多数あります。大勢の Java エキスパートが、できる限り速やかに OpenJDK に移行することをユーザーに推奨しており、健全な移行戦略は入念なインベントリーとリスク分析から始めるべきだとしています。大規模組織では、サポートと安定性の必要性を評価する必要もあります。 

その他の検討事項は、スタックが Linux ベースかどうかです。Linux ベースの場合、OpenJDK に移行すると有益でしょう。OpenJDK は Linux Ubuntu、Fedora、RHEL、OpenSUSE ディストリビューションのデフォルトの Java ディストリビューションだからです。

JDK を評価する際の注意事項が 1 つあります。Java 8 など、古いバージョンの OracleJDK から移行する場合、アプリケーションが内部の指定されていない API を使用していると、OpenJDK コードベースに含まれない場合があります。

さらに、Oracle による最新の価格変更を受けて、OpenJDK への変更を検討してみるのもよいでしょう。 

Java アプリケーションの JDK をモダナイズするためにできること

Red Hat とそのシステム・インテグレーション・パートナーは、OpenJDK への移行の成功を促進する専門知識を持っています。推奨されるアプローチは 5 つのステップを踏みます。

推奨されるアプローチ:

  1. アプリケーションと JVM/バージョンのイベントリーを作成する:既存の使用状況、Oracle のライセンス、バージョン、セキュリティの問題、依存関係、グループについて理解します。
  2. 潜在的なコード変更またはリスクについてアプリケーションを分析する:初期移行計画において、リスクが発生したり変更が必要となる領域がないか、確認します。
  3. 運用上の処理を準備する (デプロイメントおよびアップデート):JDK をデプロイして管理するための運用プロセスを準備します。
  4. 一連のアプリケーションでパイロット移行を実行する:アプリケションの代表的なセットを実行し、プロセスを一通り実行し (あれば変更、テスト、デプロイ)、アップデートした移行計画を作成します。
  5. 反復して広範囲で移行する:OpenJDK 移行ファクトリーを使用します。

Oracle に次いで 2 番目に大きな JDK コントリビューターである Red Hat は、必要なサポートとサービスを提供して、アプリケーションの構築、管理、拡張を支援できます。 

Red Hat は OpenJDK 8u および 11u バージョンのスチュワードシップの役割を持ち、コードの変更がほとんどない、あるいはまったくなく、Java コンプライアンスとマルチプラットフォーム・サポートを備えた OpenJDK は、最適な代替選択肢となります。 

Red Hat の OpenJDK ビルドは、RHELOpenShiftミドルウェアの各サブスクリプションにフルサポート付き製品として、無償で付属しています。さらに、RHEL、OpenShift、Application Services、Ansible などの Red Hat のアプリケーション・プラットフォームは、ハイブリッドクラウド・アーキテクチャ向けの最適な JDKとなります。Red Hat では Eclipse Temurin 向けのサポートを追加して、Java アプリケーションのサポートも拡張しています。

最後に、Red Hat のアプリケーション向け移行ツールキットは、Red Hat OpenShift を使用するためにアプリケーションの大規模な評価、優先順位付け、モダナイズを支援します。JDK 移行キットでサポートするほか、Java アプリケーション全体としての分析とモダナイズにも役立ちます。