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エッジコンピューティングと AI によって、産業セクターは変革を起こすことを余儀なくされています。製造業者は、製造現場の効率性と革新性を高めて競争が激化するグローバル市場に対応するために、IT と OT (実際の工場機械) の間の障壁を取り除こうとしています。

Red Hat が力を入れているのは、製造業界のこうした進化を支援することです。その方法としては、一貫したエッジ対応プラットフォームを提供することでデプロイ、保守、運用の複雑さを単純化する、信頼性の高い安全な高品質のソリューションによって運用コストの削減と市場投入時間の短縮を可能にする、オープンソースアプローチを使用してイノベーションとコラボレーションを迅速化し、よりスマートで効率的な運用を実現するなどがあります。

本日、Red Hat は第 28 回年次 ARC 業界リーダーシップフォーラムで、製造業者が変革を加速し、2024 年以降も競合他社の一歩先を行く方法について講演します。ここでは、講演でお話しする予定のトレンドとトピック分野をいくつか紹介します。

一貫したプラットフォームアプローチによる製造現場の自律的な運用

スマートファクトリー (ソフトウェア・デファインド・ファクトリー) は、製造業者によるイノベーションを加速する上で重要な役割を果たしています。McKinsey のレポートによると、「スマート製造業は 2025 年までに最大 3 兆 7,000 億ドルの価値を創出し、あらゆる分野の成長、イノベーション、競争を促進する可能性があります」。しかし、これは一夜にして成し遂げられるわけではありません。実現するには、従来のカスタムメイドの単機能ソフトウェア/ハードウェア統合システムを、複数の機能をホストして自動化を活用する、大規模管理が可能なプラットフォームに変更する必要があります。また、クラウドからエッジ、大規模なスケールアウトシステムから小さなフォームファクターまで、同じ方法でこれらの機能を構築して運用する必要があります。これにより、開発とテスト、最終的にはデプロイと管理が容易になります。この取り組みを実行に移すために、Red Hat がどのようにエコシステムと連携しているのか、いくつかの例をご紹介します。

インテルと協力してさまざまな戦略的業務に取り組んでいます。先日、相互運用性とオペレーショナルレジリエンシー (回復力) を実現する、強化されたセキュリティ機能を備えた自動化プラットフォームの提供を発表しました。その対象範囲は、リアルタイムの製造現場管理や人工知能/機械学習 (AI/ML) から、サーバーや機械全体の完全な管理可能性まで多岐にわたります。これにより、データグラビティやエッジ・ツー・クラウド形式のアーキテクチャの選択肢が広がり、設備総合効率 (OEE) が向上します。また、産業エッジ・ソリューション・センターやオープン産業テストベッドの構築にも共同で取り組み、お客様やパートナーとのコラボレーションゾーンの制御を実現しました。独立系の大手ソフトウェアベンダーである Codesys も加わって、産業用制御 (ソフト PLC) の仮想化とコンテナ化に貢献しました。まだまだあります。

わかりやすく説明すると、品質管理、圧力や温度チェック、エネルギー消費などのタスクを自動化するようなものだと考えてください。ソフトウェア・デファインド・ファクトリーを構築することで、エネルギー資源をタスクからイノベーションに向け直すことができます。 

先進的な分散制御システム (DCS) の構築

世界中で持続可能性が重視されるようになり、製造業者はこの変化に対応するために自動化、制御、最適化システムに投資しています。ただし、これらのソリューションは柔軟かつオープンで、相互運用可能である必要があります。プロセス制御システムは、エッジコンピューティング・プラットフォームと統合することで、さらに優れた精度と効率で動作できるため、比類のない柔軟性がもたらされ、継続的な製造プロセスにおけるイノベーションのフィードバックループが維持されます。

ここで、DCS に対する新しいアプローチが先進的なプロセス製造において重要な役割を担います。インテルと共同で Schneider Electric と提携し、機能性と運用効率を向上させるために、分散制御システム (DCS) の構築と運用に対する先進的でより革新的なアプローチを提供しています。

また、Red Hat は分散制御システムの世界的大手サプライヤーである ABB と提携し、コア制御を機能的に妨げないモダナイズを実現して、物理機器、プロセス、プラントの迅速かつ安全な管理とシステム全体での最適化を可能にしました。

AI とエッジ・テクノロジーの融合

AI の普及速度が増していることは明白であり、とくに製造業では急速に進んでいます。産業エコシステムには、運用効率と生産性を備えた迅速な開発および導入サイクルが必要です。製造業者がこれらの機会を最大限に活用するには、モダナイズされた、安全かつスケーラブルで管理可能なエッジ・インフラストラクチャで実行することにより、AI を工場の現場に組み込む必要があります。

この開発では、作業員の安全性、持続可能な製品設計、予知保全、サプライチェーンの最適化などの分野に大きな可能性が秘められており、まだ検討すべきことが山積みです。オープンソース・テクノロジーの実装は、構築、テスト、イノベーションに対するコラボレーティブなエコシステムのアプローチを中心とすることで、このレベルのイノベーションを加速させます。また、AI とデジタルツインを活用するために必要な相互運用性も実現します。現在、システム内のデータは、OT ベンダーの垂直統合オファリングにロックインされているため、産業セクターはデータにアクセスできません。また、「後付け」のコンピュータビジョンシステムを導入することはできますが、基盤となるシステムが変革されてデータを完全に管理できるようになるまで、AI を完全に実現することはできません。

インテリジェントなデータサービスでデータを最大限に活用

サプライチェーン、スマートデバイス、センサーなどの増加により、先進的な製造業にデータが押し寄せています。これにはかなりの複雑性が伴いますが、効率的で持続可能なデータ駆動型運用の可能性も秘めています。

デジタル化の取り組みと製造実行システム (MES) の導入によって運用を統合することで、製造現場の活動を全体的に把握しやすくなります。これを実践する方法の一例として、先進的な MES システムのパイオニアである Critical Manufacturing と協力して、Red Hat OpenShift への MES のデプロイをサポートするソリューションを提供し、デプロイの場所がオンプレミスかクラウドかに関係なく、最適化された運用と一貫したエクスペリエンスを実現することが挙げられます。こうすることで、運用データの効果的な管理と統合が促進され、組織と最適化を包括的な統合ビューで把握できます。ここで、システムのセキュリティポスチャを改善し、潜在的な機密データの保護を強化する上で、オープンソース・テクノロジーが重要な役割を果たします。

プライベートネットワークへの移行による高度な接続

今年、STL Partners のプライベートネットワークのプラクティスリードである Yesmean Luk 氏に、エンタープライズエッジとプライベートネットワークの機会について伺ったところ、「プライベートネットワークとエッジコンピューティングは、アプリケーションのパフォーマンスを向上させ、大量のデータをリアルタイムで処理することを可能にする、切り離せない 2 つのテクノロジーである」との回答を得ました。 

この移行では、サービスプロバイダーが大きな役割を果たします。迅速な意思決定、より安全で信頼性の高い接続、分析、AI などを目的として膨大な量のマシン生成データを処理するために、多くの製造業者はプライベート 5G ネットワークに頼る必要があるからです。たとえば、ビデオカメラ、ロボット工学、ベルトコンベアはすべてプライベート 5G ワイヤレスネットワークを介して接続し、各デバイスで推論や迅速な意思決定に役立つ AI/ML モデルが組み込まれたエッジ・アプリケーションが提供されます。

Red Hat はすでにお客様やエコシステムパートナーと協力して、これらのプライベート 5G ネットワークの実装を支援し、大幅なコスト削減、リアルタイムでの予防保全、エネルギー自給、運用効率、柔軟性の向上、市場投入時間の短縮を実現しています。

セキュリティと標準化の強化

ビジネスニーズに適応するために急速な変更を行う場合、真のスケーラビリティを確保するには、プラットフォームのセキュリティと標準化を念頭に置く必要があります。昨年、Red Hat はエッジセキュリティの現状に関する S & P グローバルのレポートを後援しました。そのレポートによると、意思決定者のほぼ半数 (47%) が、データ、ネットワーク、物理/デジタルデバイスのセキュリティはエッジデプロイメントにおける最大の課題の 1 つであると回答しています。これは当然のことです。デバイスが多いほど、攻撃者にとっての攻撃対象領域が大きくなるので、複雑な問題が生じる可能性があります。これこそ、Red Hat が共通プラットフォームによるさらなる標準化を推進する理由です。製造業者は一貫性のある信頼性の高いセキュリティ機能を使って、セキュリティを大規模に管理できるようになります。運用の複雑さが軽減され、組織は相互運用性を向上させることができます。

Red Hat はこの分野において信頼されるリーダーです。お客様が何をどのように実行するかに関係なく、一貫性と信頼をさらに高め、オープンなイノベーションのためのプラットフォームを提供できます。製造業のための Red Hat とオープンソースの詳細に関心をお持ちの場合は、ARC 業界リーダーシップフォーラムのブース #25 にお立ち寄りください。


執筆者紹介

Francis Chow is currently VP & GM, In-vehicle Operating System and Edge at Red Hat. Previously, he spent five years at VMware and was VP, Operations, Business Development and Strategy of the Telco and Edge Cloud Business Unit. Prior to VMware, Chow spent about 20 years in the semiconductor industry in leadership roles spanning across Engineering, Corporate Development, Marketing and Sales, and was a VP/GM for a $1B P&L before venturing into the software world. Chow holds an MBA and an MSEE from University of California at Berkeley and a BSEE from Rensselaer Polytechnic Institute. He has seven US patents.

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